健康寿命は、高齢者がイキイキとした日常生活を送れる期間です。心身に問題がある不健康な状態での延命ではなく、健康であり続けることが人々の願いです。健康寿命を伸ばすことは、健康な状態を長く続けること、不健康な期間を短くすることを意味します。

いかに健康寿命を伸ばすのか、言葉の意味や現状を踏まえて、具体的な健康な期間の伸ばし方を解説します。

みんなで健康寿命を高めましょう!

健康寿命が全国平均より10歳も長い町・大阪府太子町から、健康的な日常生活を続けるためのヒントをお届けしています。

健康寿命とは?

健康寿命とは、心身の健康上の問題に制限されることなく、自立して健康的に生活できる期間のことです。これは、世界保健機関(WHO)や厚生労働省が定めた健康寿命の定義です。

これまで寿命については、平均寿命を用いられることが多かったです。しかし、健康的であることの重要性から、健康寿命を重視する傾向になっています。ベッドの上で延命するのではなく、健康的な日常生活を続けることが大切だということです。

平均寿命と健康寿命、フレイル
平均寿命と健康寿命、フレイル

つまり、健康寿命と平均寿命の差である「健康ではない期間(要介護の期間)」を短くすることを、社会は目指しています。もちろん、平均寿命を下げるのではなく、健康である期間を伸ばすことが目標です。

健康寿命の最後の砦は「フレイル」

健常と要介護の間にある状態のことを、フレイルと呼びます。健常よりも心身に問題が生じているものの、介護は不要である状態です。

つまり、高齢者の健康寿命の最後には、多くの場合にフレイルの状態があります。

生まれてから死ぬまでの寿命のうち、健常な状態の最後がフレイルです。このため、高齢者になってからフレイル対策をするのではなく、できれば早い段階から健康に気づかった生活をするのが好ましいです。

フレイルは未然に予防することも可能ですし、改善することも可能です。一方、要介護状態から健常へと戻ることは極めて困難です。このため、健康寿命の最後の砦はフレイルであると自覚し、日常生活を改善することが大切です。

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日本は世界で最も健康寿命が長い国

長寿大国として知られる日本は、健康寿命においても世界一を誇っています。世界ランキングでは、全体および男女ともに日本が第1位です。

2019年現在、日本の全体では74.1歳で、男性は72.6歳、女性75.5歳となっています。

順位国名(地域名)健康寿命(全体)健康寿命(男性)健康寿命(女性)
1日本74.172.675.5
2シンガポール73.672.474.7
3韓国73.171.374.7
2019年の世界の健康寿命ランキング

日本が長寿である理由は、植物性タンパク質を摂取していることや、医療レベルの高さなどとされています。また、国民全体の健康意識が高いことも、寿命が長い理由とされています。

これからも日本が長寿の国であり続けるために、個人の努力が重要です。

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日本の健康寿命は伸びている

長寿大国である日本では、平均寿命と共に健康寿命も伸びる傾向にあります。

男女ともに増加傾向で、男性では69.40歳(2001年)から72.14歳(2016年)に、女性では72.65歳(2001年)から74.79歳(2016年)に伸びています。

厚生労働省「平均寿命と健康寿命の推移

ただし、平均寿命と健康寿命には依然として10歳前後の差があります。つまり、日本人は平均して10年程度を、他者の助けがないと生活できない状態で過ごしています。このため、さらに健康である期間が伸びるように取り組むことが大切です。

また、明確な理由は分かりませんが、日本の都道府県ごとに地域差があります。健康寿命の都道府県ランキングでは、男性は大分県が1位、女性は三重県が1位です。

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世界の健康寿命も伸びている

世界保健機関(WHO)によると、世界の健康寿命は伸びる傾向にあります。具体的には、2000年の58.3歳から2019年の63.7歳まで8%伸びています。

次のデータは、WHO公式が提供しているマップです。色が濃い国ほど健康な期間が長いことを表しています。

2000年の健康寿命マップ

2000年の健康寿命マップ

2019年の健康寿命マップ

2019年の健康寿命マップ

世界的に見ると、平均寿命の伸びの方が大きくなる傾向があります。つまり、死亡率が低下して平均寿命が伸びています。しかし、他社の助けが必要な要介護の時期も同時に伸びていることが分かります。

健康寿命の「三つの柱」

健康寿命の三つの柱とは、運動、食生活、社会参加です。これはフレイル予防でも同じく重要な対策とされています。

三つの柱の全てに取り組んでいない人は、取り組んでいる人より7.5倍、フレイルになりやすいというデータがあります。つまり、どれかひとつに偏るのではなく、三つの柱のすべてに取り組みましょう。

適度な運動

適度な運動は、筋力や心肺機能を高め、健康的に暮らせる期間を伸ばす効果があります。

プロスポーツ選手の大半は、20代や30代で現役を引退します。つまり、40歳を過ぎると身体は少しずつ弱くなっていきます。そして、65歳を過ぎ高齢者となると、老化によりさらに身体の衰弱は進みます。

年を重ねることで筋力や心肺機能が低下することは避けられません。このため、日常生活に適度な運動を取り入れることが重要です。

正しい食生活

正しい食生活は、十分な栄養を体内に取り入れ、活動のエネルギーとなります。また、しっかりと噛んで食べることで、口腔の健康を維持することにも役立ちます。

バランスの良い食事は、正しい食生活の基本です。いわゆるまごわやさしいや「さあにぎやかにいただく」を意識して、健康的な食事を心がけましょう。また、腸内に長寿菌を増やすことも意識してみてください。

また、フレイルの基本チェックリストに「固いものが食べにくくなった」があるように、年齢を重ねるごとに嚙む力が弱くなります。アゴや歯が弱まらないように、噛んで食べることを意識しましょう。

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社会参加(人々との交流)

社会参加には、ココロの健康を維持し、お出かけや活動によって身体にも良い効果があります。地域のサークル活動やコミュニティに積極的に参加しましょう。

健康寿命が終わる兆候となるフレイルで、最も深刻なのが社会的フレイルであるとの研究結果があります。会社を定年退職したり、パートナーを亡くすことで、社会との繋がりを失う高齢者に社会的フレイルが表れやすいです。

人々との交流を通じて、身体を動かしたり、物事を考える機会が増えます。出かけることや話すことが煩わしいと感じることは、心身の不健康に繋がります。社会への参加の機会を大切にしましょう。

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健康寿命に関する情報源

寿命や老化などに関する良質な情報を提供している研究機関や団体をご紹介します。健康寿命ポータルでも、記事執筆にあたって常に参考にさせていただいているウェブサイトです。

e-ヘルスネット

厚生労働省が運営する「e-ヘルスネット」は、生活習慣病予防のための健康情報サイトです。健康寿命に関わる多くの情報が提供されています。記事の執筆は、大学教授などの研究者が担当しています。

健康長寿ネット

公益財団法人長寿科学振興財団が運営する「健康長寿ネット」には、長寿に関する情報が数多く掲載されています。また、高齢者の病気や、高齢者のための制度やサービスなどの情報を網羅しています。

東京都健康長寿医療センター研究所

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターが運営する「東京都健康長寿医療センター研究所」のウェブサイトも良質な情報源です。さまざまな老化に関する研究について、イラストや図解が入った解説記事が掲載されています。

世界保健機関(WHO)英語サイト

世界保健機関(WHO)の公式サイトは、健康に関する多くの一次情報が掲載されています。英語サイトであるため情報を見つけることが困難なケースもあります。ただし、正確な情報の確認にはWHOの情報にあたるのが好ましいです。

健康寿命まとめ

健康寿命は、赤ちゃんとして生まれると同時に始まり、フレイルから要介護へと進んだ段階で終わります。このため、厚生労働省では高齢者のフレイル対策に力を入れています。

一方、私たちは自分の人生を豊かにすることが大切です。できるだけ早い時期から運動や食生活、社会参加など、健康に良い効果がある生活を心がけましょう。

健康寿命ポータルでは、主に高齢者向けの健康の話題をお届けしています。ただし、健康を維持するための努力は何歳から始めても問題ありません。長期的にじっくりと健康に取り組みましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

投稿者プロフィール

中村 結衣(Yui Nakamura)
中村 結衣(Yui Nakamura)