サルコペニアとは、老化により筋肉量や筋力が極端に低下していく状態です。
そのまま放置すると、心身ともに衰弱し危険な「フレイル」につながる危険な状態です。
加齢に伴う体力低下は自然なことです。しかし、もし急に「階段を登るのが辛い」「青信号で横断歩道を渡りきれない」などの症状がでてきたらサルコペニアの可能性を疑ってみましょう。
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サルコペニアとは?
サルコペニアとは、加齢に伴い全身の筋肉量・筋力が低下している状態です。
サルコペニアとは、筋肉量の減少および筋力の低下の事で、身体機能の低下を伴う事があります。
要介護状態や転倒のリスクであり、様々な疾患の重症化や生存期間にも影響します。
一般社団法人日本サルコペニア・ フレイル学会
また、高齢者に多いことから加齢性筋肉減弱現象とも呼ばれています。実際に、60〜70代のうち5〜13%はすでにサルコペニアだとする研究報告もあるほどです。
全身の筋力が弱まると生活能力が低下し、身体的フレイルや要介護のリスクが高まります。
そのため高齢者が健康で自立した生活を送るためにも期対策が重要です。
なお、このサルコペニアは「一次性」と「二次性」にわかれています。
一次性サルコペニア
一次性サルコペニアとは、一般的に言う「加齢に伴う筋肉量の低下」を指します。
特別な原因はなく、老化によって自然に体力・筋肉量が減少している状態です。
二次性サルコペニア
一方で、二次性サルコペニアは加齢ではない要因により起こる筋肉量の低下の総称です。大きく3つに分類されます。
- 身体活動性サルコペニア:寝たきり、無気力状態、運動不足などが原因
- 疾患性サルコペニア:心臓や肺などの臓器不全、炎症性疾患、がん・悪性腫瘍などが原因
- 栄養性サルコペニア:胃腸疾患、薬剤による食欲不振などが原因
また若年層も無関係ではありません。なぜなら二次性サルコペニアは長時間座る生活スタイルや無理なダイエットなどで、誰でも発症する可能性があるからです。
サルコペニアの原因とは
サルコペニアの原因は、加齢や運動量の減少、タンパク質不足などです。
一般的に筋肉量は40代から年0.5%ずつ減少し始めます。そして、80歳頃には最盛期の30%〜40%にまで低下することがわかっています。
筋肉量が年齢とともに減少していくのは自然なことです。しかし、そのときにタンパク質や運動量が不足しているとサルコペニアが発生します。
そのときに体でつくられる筋肉よりもエネルギーとして分解される筋肉のほうが多くなり、結果的に急激な筋肉量の低下が引き起こされるのです。
サルコペニアの主な症状
サルコペニアの症状は「年のせい」と見過ごされがちです。
- つまづいたり、転倒することが増えた
- 青信号の間に横断歩道を渡り切ることができない
- 手すりがないと階段が登れない
- 食事やお茶などが飲み込みにくい(嚥下障害、オーラルフレイル)
- ペットボトルなどの蓋が開けられない
身近なものばかりですが、一度サルコペニアの可能性を疑ってみましょう。
サルコペニアの放置は危険
サルコペニアの症状を放置していると重症化します。
まず、日常生活が困難になるため心身に不調をきたします。例えば病気になりやすくなったり、歩行困難・寝たきり、フレイルになる確立も高まるでしょう。
また筋力が低下すると、転倒・骨折しやすくなります。厚生労働省によると要介護になる原因の第4位に「骨折・転倒」がランクインしており、サルコペニアがいかに危険かがわかります。
サルコペニアの自己チェック方法
サルコペニアの簡易診断として、以下のチェックリストを参考にしてみましょう。
- 65歳以上(年齢による筋肉量の低下)
- 青信号で横断歩道を渡り切れない(歩行スピードの低下)
- 握力が男性25kg未満、女性20kg未満
- BMI値が18.5未満
また、自己チェックには「輪っかテスト」「片足立ちテスト」などが有効です。
ふくらはぎの輪っかテスト
まず両手の親指と人差し指で輪をつくります。そして、ふくらはぎの一番太い場所を囲んでみましょう。
もし指とふくらはぎに隙間があれば、筋肉量が低下している可能性があります。
片足立ちテスト
片足で何秒立てるかをテストします。こけないように手すりなどのそばで行いましょう。
まず裸足になります。次に両手を腰にあて、片足を5cmほど上げましょう。
60秒キープできればOKです。15秒未満の場合はリスクあり、8秒以下だと危険な水準です。
サルコペニアの予防・改善方法
サルコペニアの予防と改善には、運動と食事、人と関わる習慣をもつの3点を意識しましょう。
まずは筋肉量を保つため、筋力トレーニングや有酸素運動が重要です。
そして筋肉の材料になる良質なタンパク質を、しっかりと食事で補いましょう。
運動習慣をつける
運動といっても、強いトレーニングを行う必要はありません。
まずは「いつもより大股で歩く」「早足で行動する」「階段を使う」などの日常に取り入れやすいことから始めましょう。
慣れてきたら、週2〜3回のウォーキングや水泳などの有酸素運動も効果的です。
特にレジスタンス運動(機械やダンベルなどを使った反復運動)も筋力アップにオススメです。
タンパク質をしっかりとる
筋肉量を減らさないためには、しっかり良質なタンパク質をとることも大切です。
高齢者は「てのひら1枚分の肉や魚、大豆」を目安に、1日75-90gのタンパク質を摂取しましょう。
まごわやさしいを意識し、バランスの良い食事を取ることが大切です。
人と関わる習慣をもつ
サルコペニアの予防・改善には人と関わる機会をつくることも重要です。
なぜなら孤食や閉じこもりになると、どうしても栄養バランスが崩れたり外出・運動の機会が減ってしまうからです。
例えば地域のボランティアやイベントに参加してみましょう。
健康寿命の長い太子町にある相互扶助団体「寿喜菜(すぎな)の会」などを参考にしてみましょう。
サルコペニアを見過ごさないために
サルコペニアは「年齢のせい」と見過ごされやすい状態です。気づかないうちに要介護状態になっているケースも少なくありません。
そのため、まずは自分や周りの高齢者の変化を見逃さないよう症状をよく理解することが大切です。
健康寿命ポータルでは、さまざまな角度から健康寿命延ばすためのポイントについて発信しています。そのほかの記事もぜひ参考になさってください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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