フレイルドミノとは、社会とのつながりを失うことで始まる、要介護への負の連鎖のことです。
またフレイルは早期発見により健康な状態に戻すことができます。
そのため、健康寿命を延ばすためには、まずはなにをきっかけにフレイルが始まるのか知っておくことが大切です。
そこで今回は、フレイルドミノがどのようにして発生するかを詳しく解説します。
みんなで健康寿命を高めましょう!
健康寿命が全国平均より10歳も長い町・大阪府太子町から、健康的な日常生活を続けるためのヒントをお届けしています。
フレイルとは
そもそもフレイルとは、加齢によって抵抗力が弱まり心身が衰弱した状態を指します。
健康な状態と要介護状態の中間的な位置づけにあり、早期介入によって回復可能なことが特徴です。
フレイルは、社会とのつながりを失うことが最初の入口となり、生活の質を落とすだけでなく、生活範囲やこころの健康、口腔機能、栄養状態、身体機能までもが低下をきたし、ドミノ倒しのように進行、重症化していきます。しかし、早く介入して対策を行うことで元の健常な状態に戻る可能性があります。
健康長寿ネット「フレイルと社会参加」より
またひとつの要因ではなく、さまざまな要因がからみあってフレイルは進行します。
身体的フレイル
身体的フレイルは、日常生活に必要な筋肉が衰えてしまった状態です。
具体的には、骨や関節、筋肉などに障害がおこる「ロコモティブシンドローム」や、筋肉が急激に衰える「サルコペニア」などが代表例です。
精神・心理的フレイル
精神・心理的フレイルは定年退職やパートナーを亡くすなどのストレスをきっかけに発症します。
不眠や不安症などから、うつ状態や軽度認知症に進行します。
社会的フレイル
社会的フレイルは、独居や経済的困窮などの要因で人間関係が希薄化した状態です。
すると外出機会が減り、人とコミュニケーションを取らないことで、心身が衰弱します。
またフレイルドミノは、社会的フレイルから起こることもわかっています。
フレイルドミノのメカニズム
フレイルは一度始まるとドミノ倒しのように連鎖的に進行することが特徴です。
こういった負のサイクルを「フレイルドミノ」と呼びます。
またフレイルドミノは、早めに気づけばどの段階でも改善することができます。
東京大学高齢社会総合研究機構機構長の飯島勝矢教授は、フレイルの予防について以下のように話をされています。
予防は栄養・身体活動・社会参加の三位一体です。フレイルの入り口は人それぞれだからこそ、一つの入り口からドミノ倒しのようにならないように、それぞれの予防に努めることが重要です。
厚生労働省広報「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?」より
どこでドミノの流れを止められるかは、予防への取り組み次第です。
なおフレイルドミノのメカニズムは、以下の通りです。
①社会とのつながりの喪失
②生活範囲が狭まる
③心の健康がくずれる
④口腔内の健康がくずれる
⑤栄養バランスが崩れる
⑥身体の健康状態が悪くなる
それぞれみていきましょう。
①社会とのつながりの喪失
まずフレイルドミノの入り口となるのが、社会的つながりを失うことです。
具体的には高齢になると親しい人を亡くしたり、定年退職により人とのつながりが途切れ、社会から孤立してしまいます。
一般的に社会的フレイルと呼ばれる社会的に孤立した状態です。
②生活範囲が狭まる
次に孤立が進むと、次第に外出する機会が減り生活範囲が限られていきます。
家に閉じこもるようになると活動性が低下し、生活が不規則になったり、きちんと食事をしないなど、さまざまなリズムが崩れていくのです。
③心の健康がくずれる
そして生活範囲が狭まると、心身ともにやる気がおきなくなります。
動かなければ夜眠くもならないため、不眠や昼夜逆転などの症状につながりがちです。
最終的にはうつ状態や認知機能低下につながり、心の健康が損なわれていきます。
④口腔内の健康がくずれる
加えて心の健康が損なわれると、歯磨きをすることさえ面倒になります。
口腔ケアが疎かになると歯周病などの口腔内の問題が生じ、歯を失っていきます。
健康と歯の関係については「8020運動とは」の記事を参考になさってください。
⑤栄養バランスが崩れる
口腔内の健康が崩れると、やわらかいものばかり食べたり、お菓子で済ますなど栄養バランスが偏り始めます。
すると、筋肉を作るためのタンパク質やビタミンなどが不足し、骨がもろくなるなどの症状を引き起こします。
⑥身体の健康状態が悪くなる
そして栄養バランスが崩れると筋肉量や骨量などが減少し、身体機能が衰えていきます。
そして、運動不足からさらに家に閉じこもり、気が付くと要介護状態に陥ってしまうのです。
負の連鎖を断ち切るためには、まず家の外に出て、人と交流することが重要になります。
フレイルドミノを予防するために
フレイルドミノを予防するためには、まず社会的なつながりを保つことが重要です。
地域のうたごえ喫茶などに参加したり、ノルディックウォークなどの運動イベントに参加するのもよいでしょう。
健康寿命ポータルでは、フレイルを予防するための情報を発信しています。ぜひフレイル予防につながるチェックリストの記事も参考になさってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
投稿者プロフィール
最新の投稿
- 健康寿命2024年11月20日酸化ストレスに効く食事とは?抗酸化力の強い栄養素の選び方
- 健康寿命2024年11月18日酸化ストレスを減らすには?若々しさを保つ習慣を解説
- 健康寿命2024年11月16日酸化ストレスの原因とは?老化する生活習慣を知ろう!
- 健康寿命2024年11月15日酸化ストレスに抗酸化サプリは効果なし?逆効果を防ぐエビデンスとは