認知的フレイルとは、加齢に伴う身体的フレイルと認知機能低下が共存する状態です。
なお、認知症と混同されがちですが認知的フレイルと認知症は異なります。
そこで今回は認知的フレイルの定義や特徴について解説します。まず、認知症との違いや予防策を正しく知り、改善できるように意識してしましょう。
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認知的フレイルとは
認知的フレイルとは加齢に伴う身体機能と認知機能の両方が低下した状態を指します。
例えば筋力や体力が弱まり、歩くのが遅くなるといった身体的フレイルの症状と、物忘れといった軽度認知障害(MCI)に似た認知機能の低下が同時に見られることが特徴です。
認知的フレイルはまだ認知症には至っていない状態です。しかし、放置すると認知症や要介護のリスクが高まるため早期対策を行わなければなりません。
認知的フレイルの特徴的な症状
認知的フレイルの主な症状は身体的・認知的なものなどさまざまです。
スクエアガーデン地域包括支援センターによると、以下のような症状がみられます。
- 見当識の低下(時間や場所、人があいまいになる)
- 記憶力の低下(新しい情報を覚えにくく、最近の出来事を忘れやすくなる)
- 意欲の低下(活動や趣味への興味ややる気が減少する)
- 判断能力の低下(判断や意思決定が難しくなる)
- 抑うつ(気分の落ち込み、感情のコントロールが難しい)
基本的に軽度認知障害(MCI)と似ており、日常生活には支障がありません。また、症状には個人差が大きいことも特徴です。
そのため、なかなか発見されづらく「年齢のせい」と見過ごされがちです。
なぜ認知的フレイルが起こるのか
認知的フレイルのリスク要因は、社会的孤立や運動不足などです。
一般的に高齢化により体を動かしにくくなると行動範囲が狭くなります。すると家に閉じこもりがちになるため社会的フレイルが発生します。さらに気分が落ち込むなど心理的フレイルにつながる「フレイル・ドミノ」が発生します。
生きがいや意欲がなくなるとさらに筋力が低下するため、歩行障害や脳の萎縮など、認知的フレイルが進行・悪化するのです。
認知的フレイルと認知症の違い
認知的フレイルは認知機能は低下しているものの、日常生活はできる軽度な状態です。
その一方、認知症は医学的に脳細胞の死滅などがみられる、進行性の病気です。記憶障害がみられ生活に支障がでるほか、治療法は確立されていません。
認知的フレイル(物忘れ) | 認知症 |
---|---|
ちょっとした物忘れ | 経験したことをすべて忘れている |
うっかり約束をわすれてしまう | 約束したこと自体をわすれている |
曜日や日付を間違える | 季節や月などを間違える |
昨日何を食べたのか思い出せない | 食事をした記憶自体がない |
認知的フレイルの状態であれば早期対策で改善することができます。しかし放置してしまうと認知症に進行してしまうため、注意しなければなりません。
認知的フレイルとMCI(軽度認知障害)の関係
認知的フレイルとMCI(軽度認知障害)はどちらも認知機能が低下した状態です。
具体的には、MCIは主に軽い物忘れや集中力の低下を特徴としています。認知症の前段階といえる状態です。
その一方、認知的フレイルには身体的フレイルとMCIがどちらも含まれています。
どちらもハイリスクですが、早期の予防や対策で健康な状態まで改善できる状態です。
認知的フレイルを改善・予防する方法
認知的フレイルは高齢者だけの問題ではありません。不摂生な生活や運動不足などにより、若いときから対策をしておくことが大切です。
最後に、認知的フレイルを改善・予防する方法を確認しておきましょう。
心身の健康を保つ
認知的フレイルの予防には、まず身体的な健康を維持するための定期的な運動、バランスの良い食事、禁煙などが重要です。
また、社会的な孤立を防ぐため、趣味を持ったり地域ボランティアに参加してみましょう。役割や生きがいをもって生活することが大切です。
認知機能のトレーニング
しりとりや計算など、頭の体操も認知的フレイル予防に有効です。
ちょっとしたスキマ時間や散歩の途中など、思いついたら実行してみましょう。
コグニサイズ
コグニサイズとは、認知(コグニション)と運動(エクササイズ)を組み合わせたエクササイズです。
例えば、数字を数えながら足踏みし3の倍数で手をたたくエクササイズなどがあります。
慣れてきたら数字を変えるなど、工夫して取り組んでみましょう。
認知的フレイルを予防するには
2025年には 65歳以上の5人に1人は認知症になると言われています。
認知的フレイルは認知症の前段階であり、生活習慣を見直せば健康な状態に戻ることができます。
自分自身の健康状態に気を配るとともに、家族や周囲の高齢者の変化に気を配り、みんなで健康寿命を伸ばしていきましょう。
健康寿命ポータルでは、健康に長生きするためのトピックについてさまざまな情報提供をしています。認知的フレイルに関係する、社会的フレイルの記事もぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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