化粧療法(メイクセラピー)という言葉を聞いたことはありますか?

実は身だしなみを整えることは、見た目だけでなく、心身の健康につながることがわかってきました。

そこで今回は、今注目を集めている化粧療法の効果について詳しくご紹介します。

みんなで健康寿命を高めましょう!

健康寿命が全国平均より10歳も長い町・大阪府太子町から、健康的な日常生活を続けるためのヒントをお届けしています。

化粧療法(メイクテラピー)とは?

化粧療法(メイクセラピー)は、メイクを通じて心や身体、QOL(生活の質)を向上させる取り組みです。

化粧療法とは、スキンケアやメイクなど化粧行為を通じて心身機能やQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)の維持向上など健康寿命の延伸をめざす療法です。自立支援のもと、残存機能を生かした手法を用い、「自分でする化粧」をサポートします。また、地域の元気な高齢者に対しては、社会性/心のフレイル予防など、介護予防としても活用ができます。

資生堂「化粧療法研究室」より

実は、化粧療法のメリットは、実は外見を整えるだけではありません。

  • 見た目が若返ることで自信がうまれる
  • メイク道具を選ぶことで脳が活性化
  • 手先を動かすことで身体機能向上が期待できる
  • コスメの香りや筆の感触などで感覚を刺激

何歳になっても、きれいにお化粧をすると心はときめきます。このときめきには、実は高齢者の健康寿命を延ばす効果があるのです。

男女ともに良い効果が期待できる

実は、化粧療法は男女ともに効果が期待できます。なぜならメイクアップ以外にも、セルフケアを行うことも化粧療法の一環だからです。

例えば、男女ともに喜ばれるメイクセラピーには、以下のようなものがあります。

  • スキンケア
  • 表情筋ストレッチ
  • ハンドケア・ネイルケア
  • ハンドマッサージ

身だしなみを整えて不快な気持ちになることはありません。化粧療法は、年齢や性別に関わらず実践することができるため、介護施設や病院などでも導入が進んでいます。

化粧療法の5つの効果

それでは次に、実際に化粧療法にどのような効果が期待できるのかみていきましょう。

心が前向きになる

メイクをすると幸福感が高まり、気分が明るくなったり自信がつくなどの心理的効果が期待できます。

実際に化粧療法を受けた高齢女性は、抑うつや不安感が改善したこともわかりました。

心を前向きにすることは精神的フレイルの予防になるため、健康維持にとってもとても大切なことです。

日常動作(ADL)の訓練につながる

ADLとは立つ・座る・手を動かす、などの日常的に行う動作のことです。

メイクをするだけでも、実は指先や腕の筋肉、表情筋など、さまざまな部位を使います。また、体を動かすと同時に脳もしっかりと活性化することがわかっています。

  • 化粧品や色・香りを選ぶ
  • 小さな化粧品を指でつまみ、正確に動かす
  • 顔や首を動かしながら、正確に塗る

実はメイクは細かな動作が求められるため、さまざまな機能訓練になるのです。

メイクを毎日の習慣にすることで、衰えがちな握力が改善したというデータもあります。

認知機能の改善につながる

岡山大学のプレスリリースによると、認知症患者の女性36名に化粧療法を行ったところ、直後から情動機能が改善したと発表されています。

情動機能とは、喜び・怒りなど、社会生活に欠かせない人としての感情のことです。

・認知症患者さんを対象とした臨床試験で、化粧療法は開始直後から認知症患者さんの情動機能改善効果があることを証明しました。
・さらに、AIを用いた顔解析で、化粧療法により認知症患者さんの見た目年齢が若返り、喜びが増加することを世界で初めて発見しました。

岡山大学プレスリリース「認知症患者さんに対する化粧療法の早期効果を臨床試験で証明!」より

定期的な脳への刺激は認知症予防に効果的なことは、「アロマで認知症を治す?香りが健康寿命アップにつながる秘密」の記事にもあるようにすでに証明されています。

QOL(生活の質)の向上

メイクをすることで外出の機会が増えたというデータもあります。

外出機会が増加すれば社会的なつながりが増え、社会的フレイルの予防にも効果的です。

友人や趣味の仲間とコミュニケーションをとる機会があればあるほど、脳も活性化します

高齢者におけるファッションへの関心とQOL(生活の質)との関連に関する研究によると、高齢者自身や他人のファッションや流行に対して関心の高い高齢者は、関心の低い高齢者と比較して、積極的に町内会活動やボランティア活動などの社会活動に参加していることが分かりました。

健康長寿ネット「化粧とおしゃれと健康の関連」より

高齢者の合言葉として知られる「きょうよう」「きょういく」などにもあるように、外出機会を確保することは、健康維持のためにとても大切なことがわかります。

オーラルフレイルを防ぐ

実は、メイクをすると唾液の分泌量が増えることがわかっています。

口腔内が衰えるとフレイルが一気に進行してしまうため、嚥下機能の改善効果は健康寿命を延ばすために大切なポイントといえるでしょう。

オーラルフレイルについては「オーラルフレイルとは?自己チェックリストやリスク、改善方法を解説」の記事を参考になさってください。

メイクで心を健康に!

化粧療法(メイクセラピー)は、美容はもちろん、心の健康や人とのつながりを保つために大切な取り組みです。

例えば色つきのリップクリームなど、試しやすいことから始めてみましょう。

なお、自分で行うセルフメイクの補助であれば問題ありませんが、他の方にメイクを行うためには免許が必要です。その点だけ注意しましょう。

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野上 和香子 (Wakako Nogami)
野上 和香子 (Wakako Nogami)