スーパーセンチナリアンとは、110歳以上の超高齢者を指す言葉です。

単に長寿であるだけでなく、多くのスーパーセンチナリアンは健康寿命が100歳を超えていることも特徴です。

そこで今回は、スーパーセンチナリアンとはなにか、長寿の秘密を解説していきます。

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スーパーセンチナリアンとは

スーパーセンチナリアンとは、110歳以上の超高齢者のことです。

平均寿命が世界一長い日本でも、スーパーセンチナリアンは141人のみです。(2020年10月時点の年国勢調査より)

日本の人口ではおよそ90万人に1人、100歳以上の百寿者のなかでも0.18%しかいない計算になります。

スーパーセンチナリアンはなにがすごい?

スーパーセンチナリアンは単にご長寿なだけではありません。

実は100歳を超えても自立し、介護が必要ない方が多いことが特徴です。

100歳を超えても健康寿命を維持しているため、「長寿社会のエリート」「健康長寿の超優等生」と呼ぶこともあります。

スーパーセンチナリアンは健康長寿や老化のメカニズムを解明するために世界中で注目されており、日本では慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターなどにより研究が進んでいます。

慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの全国超百寿者研究

慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターでは、スーパーセンチナリアン(110歳以上)の母体が少ないため、全国の超百寿者(105歳以上)の研究を行っています。

その成果として、以下の2点の特徴を発表しました。

これまで超百寿者研究から次のようなことがわかりました。

・ 一般の高齢者では加齢に伴って、染色体の末端に位置するテロメア長は徐々に短縮しますが、百寿者、特に超百寿者や直系子孫(血縁のある子供)ではテロメア長がより長く保たれており、実際の年齢が80歳代でも、60歳代の平均値に匹敵する長さを有していた。

・ 慢性炎症が100歳以降の余命や日常生活動作(ADL)、認知機能に影響しており、慢性炎症を抑えることが健康長寿の達成に重要であることが考えられた。

慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター「全国超百寿者研究」より

では、スーパーセンチナリアンの長寿の秘訣と考えられるポイントを次の章で詳しく見ていきましょう。

スーパーセンチナリアンに学ぶ長寿の秘訣

スーパーセンチナリアンは、一般の高齢者と比較して健康を維持しています。

そこでは、これまでの研究を参考に、長寿のポイントを4つみていきましょう。

100歳時点でもADLが高い

ADL(日常生活動作)とは、生活のために最低限必要な動作や能力のことです。「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」など日常生活に欠かせない動きのことを指します。

スーパーセンチナリアンはフレイルや要介護にはなっていません。ADL動作を100歳になっても自立して行えていたことがわかっています。

百寿者のフレイルを評価した結果,100~104 歳時点における欠損指数は(狭義の)百寿者,超百寿者,スー
パーセンチナリアンの順に低かった(未発表データ).
つまり,超百寿者やスーパーセンチナリアンはフレイルの進展を遅らせることによって健康寿命をより長く保っている可能性が考えられた.

日本老年医学会雑誌第55巻第4号「スーパーセンチナリアンの医学生物学的研究」より

また、糖尿病や高血圧など健康寿命を脅かす致命的な疾患にかかっていないことも特徴です。

全国超百寿者研究の結果も合わせると,(狭義の)百寿者,超百寿者,スーパーセンチナリアンにおける糖尿病の有病率は 8.2%,6.3%,3.5% であり,糖尿病にならないことが健康長寿者の重要な特長であることが判明した.
高血圧(内服治療を受けているか,診断されている)の有病率もそれぞれ 33.3%,37.7%,34.5% であり,一般の高齢者と比べると低かった.

日本老年医学会雑誌第55巻第4号「スーパーセンチナリアンの医学生物学的研究」より

運動で心機能を健康に保っている

スーパーセンチナリアンの血液バイオマーカーを調査したところ、心不全などと関わりのあるホルモン「NT-proBNP」の濃度が低いことがわかりました。

NT-proBNPは、心臓の機能低下の負荷により分泌されるホルモンの一種です。

つまりNT-proBNP濃度が低いのは、心臓が健康なことの証明ともいえます。

心機能を健康に保つ要因として、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの新井康通教授は以下の点を指摘しています。

東京都在住の85~99歳の約540人の血液データと生活習慣の関係を調べたところ、定期的な運動を継続しているとNT-proBNPが低く抑えられ、心機能が保たれていることが分かりました。
(中略)
85歳を過ぎても散歩や公園でのラジオ体操を日課にしていたり、ゴルフ、水泳、ジョギングなどの運動を定期的に行ったりしている高齢者は、心臓の老化が進みにくいのです。

日経BP「スーパーセンチナリアン調査で見えてきた「超健康長寿」の機序」より

運動は身体的フレイルメタボリックシンドロームの予防にもつながるため、健康寿命を延ばすために重要なことがわかります。

きちんと栄養をとっている

スーパーセンチナリアンはアルブミン濃度が高いことがわかりました。アルブミンは血液中で物質の運搬や水分調節などを担当しています。

このアルブミン濃度が低下した高齢者は、フレイルになる危険性や死亡率が高まります。

アルブミン濃度を高く保つためには、良質なタンパク質を摂取することが大切です。

そのため肉や魚だけでなく、大豆製品や乳製品などをバランスよく食べる高齢者ほど、健康寿命を延ばしやすいといえるでしょう。

実際、慶應義塾大学の調査では以下のような結果がでています。

高齢になると食が細くなる人が多いが、同センターと慶應義塾大学病院食養管理室が共同で実施した34人の百寿者に対する3日間の食事記録調査では、百寿者は体重に対して1日平均約30kcal/㎏を摂取し、働き盛りの人たちとほぼ同程度のエネルギーやたんぱく質をしっかり摂っていた。

日経BP「スーパーセンチナリアン調査で見えてきた「超健康長寿」の機序」より

また、よく食べるにはオーラルフレイル予防も重要だとも指摘されています。

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社会的なつながりを保っている

スーパーセンチナリアンの特徴として、社交的な方が多いという傾向があります。

高齢になると身近な人との死別や身体的な老化から家に引きこもってしまいがちです。

しかし、多くのご長寿はそうではありません。ご高齢でもお店を切り盛りし、地域のボランティアに参加している方も多くいます。

双子のご長寿さんとして有名な「きんさんぎんさん」もとても社交的だったそうです。

テレビCMへの出演や写真集・CDの発売など、前向きな挑戦を覚えている方も多いでしょう。

人と会うことで脳が活性化し、認知的フレイルを防ぐこともできます。

1人ではなく、沢山の人と関わることもスーパーセンチナリアンになる秘訣といえるでしょう。

長生きの秘訣を知って実生活に活かそう!

健康寿命の長いスーパーセンチナリアンの生活は、私達の実生活に活かせるものばかりです。

まずはフレイルを防ぐための運動習慣や食生活のバランスを整えること。

次に、さまざまなことにチャレンジし、社会や人と関わりを保つことが重要です。

健康寿命ポータルでは、長寿の秘密や健康に生活するためのポイントを発信しています。大声で歌うと健康寿命が伸びる?歌と健康の関係を解説などの記事もぜひ参考になさってください。

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