認知症予防のためには「多因子介入」が効果的であることを、神戸大学が日本で初めて実証しました。
認知症を発症すると自立した生活が難しくなることもあり、まだ若い50代60代のころから予防・改善に取り組むことが大切です。
そこで今回は神戸大学の最新の研究に基づいて、どのような方法が認知症予防に効果的なのかを解説していきます。
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神戸大学の最新研究
この研究は、認知症予防のための「多因子介入」が実際に高齢者にどういった影響を与えるかを調べたものです。
兵庫県丹波市において認知症予防を目指した多因子介入によるランダム化比較研究を実施し、運動、認知機能トレーニング、栄養管理、生活習慣病の管理から成る複合的な介入プログラムを週に1回90分、18か月間継続することによって、高齢者の認知機能が改善することを国内で初めて実証しました。
神戸大学プレスリリース「運動を主体とした多因子介入により認知機能が向上」より
具体的にはこの調査を軽い認知低下や高血糖などがある高齢者203名を対象にして行われた結果、
- 認知機能の向上(記憶力・実行力・情報処理速度・注意力など)
- 身体機能の向上(5回の立ち座りテストや呼気筋力で計測)
など、何もしていない人と比較して明らかな機能改善がみられました。
なお本研究は、神戸大学大学院の古和教授、沖助教授らと、神戸学院大学の尾嵜遠見 助教らの研究グループが実施したものです。
認知症予防のための多因子介入とは?
多因子介入とは、認知症を予防するための複合的なプログラムのことです。
- 運動介入(週1回90分のストレッチ・筋トレ・二重課題運動など)
- 認知トレーニング(自宅でタブレットで実施可能)
- 栄養指導(栄養士や看護師による面談・電話サポート)
- 生活習慣病の管理(歩数管理・睡眠管理など)
など、複数の領域から認知機能向上にアプローチしています。
神戸大学のプレスリリースでは、早い段階でこの多因子介入を行うことで「認知予備能と呼ばれる“脳の貯金”」を増やし、認知症発症予防につながるとも指摘されています。
認知症予防のための多因子介入を生活に取り入れてみよう!
では、実際にどのように多因子介入を生活に取り入れることができるのでしょうか?
神戸大学の研究を参考に、3つのポイントを意識してみましょう。
週に1回以上の運動習慣
まずは軽いウォーキングなど、簡単な運動を生活習慣に取り入れることが大切です。
また、雨の日などは、ヨガや自重筋トレ、有酸素運動などを行ってみましょう。
60代ごろでも運動習慣がついていれば、高齢になっても継続しやすいためおすすめです。
栄養バランスを意識する
偏った食生活は、身体機能の衰えだけでなく脳の栄養不足も引き起こします。
実際、新型栄養失調と呼ばれ「高齢者の5人に1人は栄養不足」であることもわかっています。
例えば、「まごわやさしい」「さあにぎやかにいただく」などの指標を参考にしましょう。
また、日々の生活で食事のバランスまで手が回らない方は、腸活や野菜不足解消の手助けになる酪酸菌青汁などの健康補助食品を活用するのもおすすめです。
認知機能のトレーニングを行う
例えば日常生活では「二重課題運動」などの認知トレーニングがおすすめです。
- 歩きながら「しりとり」をする
- ラジオにリアクションしながら料理をする
など、なにかと別のことを同時並行で行うことは脳のよいトレーニングになります。
そのほか、パズルをしたり歌をうたうことも健康寿命を延ばすのに効果的です。
認知症予防のための多因子介入はまだ研究段階
今回の神戸大学の調査では、
- 今後は効果がいつまで持続するのか
- 本当に認知症発症予防の効果が高いのか
など、継続した研究に期待が寄せられています。
多因子介入はフレイル予防にも通じる部分が多いため、50代・60代でも継続して取り組んでいくとよいでしょう。
健康寿命ポータルでは、認知症予防につながるさまざまな研究を紹介しています。そのほかにも「アロマで認知症を治す?香りが健康寿命アップにつながる秘密」の記事なども参考になさってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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