第5次国民健康づくり健康日本21(第3次)が令和6年からスタートしています。

通称「健康日本21(第3次)」と略されており、厚生労働省の「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」に基づいて健康寿命の延伸が目標です。

今回は、健康日本21(第3次)についてわかりやすく解説します。

それでは高齢化社会への対応や健康づくりのポイントを学んでいきましょう。

みんなで健康寿命を高めましょう!

健康寿命が全国平均より10歳も長い町・大阪府太子町から、健康的な日常生活を続けるためのヒントをお届けしています。

厚生労働省はなぜ「健康寿命」を重視するのか

日本は超高齢化社会に突入しています。しかし、高齢者全員が人生を謳歌できているかというと実はそうではありません。

2016年の調査では健康寿命と平均寿命の差男性8.8年・女性12.35年といわれています。

つまり現在多くの高齢者は人生の最後に10年近く「日常生活に制限がある不健康な期間」があるのです。

まずこのギャップを是正し、すべての人が健康で一生を終えられる環境をつくることが大切です。

そのため厚生労働省は健康寿命の延伸をポイントに「第5次国民健康づくり健康日本21(第3次)」を打ち出しました。

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健康寿命とは

健康寿命とはWHOが2000年に提唱した概念です。まず肉体的、精神的、社会的に満たされ、心身ともに自立、健康的に生活できる期間を指します。

どれだけ長生きできたとしても、寝たきりや要介護の期間が長いとQOLは下がってしまいます。

そのため「ただ生きている期間を延ばす」のではなく「健康で自立できる期間を延ばす」ことが大切です。

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第5次国民健康づくり健康日本21(第3次)とは

第5次国民健康づくり健康日本21(第3次)とは、厚生労働省が令和6年度から令和17年度まで実施するプロジェクトです。

個人の健康管理や社会環境の整備の両面から、健康寿命を伸ばし、健康格差をなくすための取り組みを行います。

厚生労働省健康局のスマート・ライフ・プロジェクトサイトのニュースでは、以下のように解説されています。

健康日本21(第三次)においては、「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」をビジョンとして掲げ、「誰一人取り残さない健康づくり」と「より実効性をもつ取組の推進」に重点を置くこととしており、

○健康寿命の延伸と健康格差の縮小
○個人の行動と健康状態の改善
○社会環境の質の向上
○ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり

を基本的な方向として、健康づくりの取組を進めることとしているところです。

スマート・ライフ・プロジェクト 事務局(厚生労働省 健康局 健康課)ニュースより

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

健康寿命の延伸と健康格差の縮小

第一に、健康寿命の延伸と健康格差の縮小は、健康日本21(第三次)の中核をなす目標です。

  • 健康寿命の延伸:
    平均寿命と健康寿命の差を縮小し、QOL向上と医療費や介護費用の負担軽減につなげます
  • 健康格差の縮小:
    地域や社会経済状況による健康状態の差がなくなるよう働きかけます

個人の行動と健康状態の改善

次に、個人に向けての生活習慣改善の目標です。

具体的にはがんや糖尿病などの生活習慣病(NCDs)の発症予防/重症化予防や、骨粗鬆症やロコモティブシンドロームなどを予防して生活機能の維持・向上につなげます

全てではないですが、具体的な数値目標をみていきましょう。

  • 適正体重維持者の増加:
    適正なBMI(18.5以上25未満、65歳以上は20を超え25未満)の割合を66%に引き上げます。また肥満、若年女性の痩せ、低栄養傾向の高齢者を減少させます。
  • 野菜摂取量の増加:
    具体的には野菜摂取量を350gに増やし、健康的な食生活を促進します。
  • 運動習慣者の増加
    運動習慣を持つ人の割合を40%に増やし、身体活動の推進を図ります。
  • 十分な睡眠時間の確保
    具体的には睡眠時間が6~9時間(60歳以上は6~8時間)の割合を60%に増やします。
  • 飲酒量の減少
    生活習慣病(NCDs)を高める量の飲酒をしないようにします。
  • 喫煙率の減少
    20歳以上の喫煙率を12%に減らし、妊婦の禁煙支援をします。
  • 糖尿病の増加抑制
    糖尿病有病者数を1,350万人に抑制します。
  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)の死亡率減少
    まず死亡率を人口10万人あたり10に減少させ、呼吸器疾患の予防を強化します。

社会環境の質の改善

社会でどのように健康寿命を伸ばしていくための具体的な目です。

  • 社会とのつながり・こころの健康の維持及び向上
    具体的には地域の人々とのつながりや社会活動を通じて、メンタルヘルス対策に取り組みます。
  • 自然に健康になれる環境づくり
    歩きたくなるまちづくり、望まない受動喫煙の防止などを行います。
  • 誰もが利用できる健康増進のための基盤の整備
    例えばスマート・ライフ・プロジェクトを行い、企業の健康経営などを促進します。

ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり

子どもや高齢者、女性などに必要な健康促進活動のための目標です。

  • こども
    こどもの運動やスポーツの促進、肥満傾向児の減少、20歳未満の飲酒・喫煙を防止します。
  • 女性
    若年女性の痩せすぎ防止、骨粗鬆症検診受診率の向上を促進します。
  • 高齢者
    低栄養傾向の高齢者を減らし、ロコモティブシンドロームを防止します。また、高齢者の社会活動を促進します。

特に高齢者向けの施策では、社会的・身体的・心理的フレイルの3点に注目していることがわかります

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健康日本21(第3次)で健康寿命を伸ばそう!

日本は平均寿命・健康寿命ともに世界的に見れば長い国です。しかし現状では人生の末尾に10年間ほどの不健康な期間があります。

健康寿命を延ばすためにも、まずは政策である「第5次国民健康づくり健康日本21(第3次)」をよく理解し、取り組んでいくことが大切です。

健康寿命ポータルでは、健康寿命に関わるさまざまな情報を発信しています。具体的に取り組むべき運動などもご紹介しておりますので、ぜひ参考になさってください。

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最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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野上 和香子 (Wakako Nogami)
野上 和香子 (Wakako Nogami)