サルコペニア肥満とは、見た目は太っていないのに、実は体脂肪率が異常に高い状態を指します。
気づかないうちに健康寿命を損ない、糖尿病や高血圧、脂質異常症などを悪化させます。
そこで今回は、意外と知られていないサルコペニア肥満についてわかりやすくご紹介します。
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サルコペニア肥満とは?
サルコペニア肥満とは、急激な筋肉量低下を引き起こすサルコペニアと、脂肪が蓄積する肥満症が同時進行している状態のことです。
外見や体重は健康に見えるのに、体の中では筋肉が体脂肪に置き換わっていきます。
そのため発見が難しく、気づかないうちに歩行困難からの寝たきりや、生活習慣病を発病してしまう危険な状態です。
サルコペニア肥満は,加齢に伴う主要な身体組成変化であるサルコペニアに(内臓)肥満が合併した病態であり,インスリン抵抗性,炎症,酸化ストレスなどが肥満とサルコペニアとを結びつける機序である.
日本老年医学会雑誌 51巻 2 号(2014:3)「サルコペニア肥満 小原 克彦」より引用
サルコペニア肥満は,身体機能障害を伴うだけではなく,代謝障害や動脈硬化が進展しており,心血管リスクが高いと考えられる.
メタボリックシンドロームや単純なサルコペニアより、健康寿命を損なうリスクが高いことも知られています。
30~40代に広がる「隠れ肥満」
サルコペニア肥満は見た目で判断しづらいため、別名は「隠れ肥満」です。
実は近年、高齢者だけでなく若年層にも広がっていることが危険視されています。
座り仕事や無理なダイエット、食生活の乱れにより、普通体型でも筋肉がスカスカで体脂肪率が異常に高い若者が増加しているのです。
具体的なデータでは30歳以上女性の10%がすでに罹患しており、40代の25%は予備軍といわれています。
サルコペニアや肥満症との違い
サルコペニア肥満は、サルコペニアよりも要介護リスクが高く、肥満症よりも生活習慣病になりやすい状態です。
体型やBMIは標準なので発見・予防が難しく、徐々に要介護リスクだけが高まっていきます。
その一方、サルコペニアは加齢による筋肉量の低下を指します。転倒しやすいなど危険な状態ですが、年齢とともに筋肉が衰えることはある意味自然な現象です。
また、肥満症になると糖尿病や高血圧など生活習慣病のリスクが高まります。メタボリックシンドロームのように体型がふっくらしてくるため周りに注意されやすく、意識して予防しやすいことが特徴です。
サルコペニア肥満の定義
実はサルコペニア肥満には統一された診断基準がまだありません。
そこで、一般的には「サルコペニア」と「肥満」の診断基準を両方満たしているかどうかをチェックして診断が行われています。
セルフチェック方法
まずは筋力が低下しているかどうかをセルフチェックしてみましょう。
- 筋肉量チェック:「指輪っかテスト」で隙間ができるかどうか
- 筋力のチェック:ペットボトルや瓶の蓋が開けられない、片足立ちで靴下が履けない
- 歩行速度チェック:横断歩道を青信号の間に渡り切れない
より詳しくチェックしたい方は、以下のサルコペニアについて詳しく解説した記事を参考になさってください。
サルコペニア肥満を予防・改善するには
サルコペニア肥満の主な原因は運動不足と低栄養です。
運動をしなければ筋肉は不要とみなされ分解されていきます。また、食事を減らすダイエットを続けていると、たんぱく質が不足して筋肉量は増えません。
まずはきちんと3食食べること、きちんと運動をして筋肉量を増やすことが重要です。
栄養バランスを見直す
まず食事はバランスよく食べることが大切です。魚や卵、大豆などの良質なたんぱく質を多くとるよう心がけましょう。
カロリーはむやみに制限してはいけません。脂質や糖質などをおさえることで適正数値に調整することが大切です。
なおサルコペニア肥満になりやすい人の傾向として、朝食を抜いたり、間食が多い、不規則な食事などが特徴です。
「まごわやさしい」を合言葉に、まずは食生活を見直してみましょう。
有酸素運動と筋トレを組み合わせる
現代社会では、意識して運動習慣を作らなければすぐに運動不足になってしまいます。
まずは有酸素運動として、大股で歩く、階段を使う、速足で歩くなどが有効です。日常に取り入れやすいことから始めましょう。
次に、ウォーキングやノルディックウォーキング、ヨガやストレッチなどに挑戦するのがおすすめです。
また、筋力トレーニングも取り入れていきましょう。衰えやすい下半身にはスクワット、上半身や体幹にきくプランクなどがおすすめです。
また、レジスタンス運動(機械やダンベルなどを使った反復運動)などもおすすめです。
体重だけでなく「体脂肪率」を意識したダイエットを
サルコペニア肥満を防ぐためには、体脂肪率や筋肉率などを意識して計測することが大切です。
見た目の体型や体重ではわからないため、体組織計に乗る習慣をつけることが大切です。
体組織計は地域の公民館などに置いてあることが多いです。社会的フレイルの予防にもなるため、積極的に利用しに外出しましょう。
健康寿命ポータルでは、健康寿命を脅かすリスクについて詳しくご紹介しています。ぜひそのほかの記事も参考になさってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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