ロコモティブシンドローム(ロコモ)の予防には、骨や筋肉などの運動機能をチェックすることが大切です。
ロコモは要介護に直結する危険な状態です。しかしきちんと意識して予防すれば何歳からでも改善することができます。
そこで今回は、自分でできる簡単なロコモのセルフチェック方法や運動をご紹介します。まずは自分の体の変化に気づくところからはじめましょう。
ロコモティブシンドロームと要介護の関係や、原因となる疾患などを知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
ロコモティブシンドロームとは?
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、身体を動かすための運動器の機能が低下した状態です。
そのため身体の関節や骨、筋肉に障害が起こると移動能力が低下し、要介護や寝たきりになるリスクが高まります。
ロコモティブシンドロームの原因と予防
ロコモの主な原因として、加齢による自然な運動器の衰えが挙げられます。特に筋肉量の減少や関節の変形、骨密度の低下などからロコモにつながる方が多いです。
また、運動不足も大きな要因のひとつです。車やエスカレーターに頼った生活は知らず知らずのうちに筋力を低下させます。
なお高齢者でなくても、過度な負荷により関節や筋肉を損傷すればロコモになる可能性は否定できません。
ロコモティブシンドロームの予防のためには、自分がロコモなのかどうか定期的にチェックし、きちんと予防することが大切です。
予防に重要!ロコモティブシンドロームのセルフチェック方法
ロコモティブシンドロームの予防にはセルフチェックが欠かせません。
それでは、ロコチェック、ロコモ度テストなどで具体的にどこが衰えているのかを確認しましょう。
ロコチェック
まずは、以下の「ロコチェック」の7つの質問で骨や関節、筋肉などの簡易チェックを行ってみましょう。
1つでも当てはまる場合はロコモのサインです。
1.片脚立ちで靴下がはけない。
2.家の中でつまずいたりすべったりする。
3.階段を上がるのに手すりが必要である。
4.家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
5.2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
6.15分くらい続けて歩くことができない。
7.横断歩道を青信号で渡りきれない。
日本整形外科学会
ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコチェック」より項目のみ引用
より詳しく確認したい方は、次の「ロコモ度テスト」も行ってみましょう。
ロコモ度テスト
日本整形外科学会が提供するロコモ判定方法が「ロコモ度テスト」です。
以下の3つのテストを行います。
- 立ち上がりテスト(下肢筋力を調べる)
- 2ステップテスト(歩幅・移動能力を調べる)
- ロコモ25(身体状態や生活状況のチェック)
なお、判定結果で使用するロコモ度の定義は以下の通りです。
ロコモ度 | 状態24点以上状態 | 対策 |
---|---|---|
ロコモ度1 | 移動機能の低下が始まっている状態 | ロコトレを始めるタイミング。 たんぱく質とカルシウムを含むバランスの取れた食事。 |
ロコモ度2 | 移動機能の低下が進行している状態 | 自立生活ができなくなるリスクが高い。 運動器疾患の確認のため整形外科専門医を受診しましょう。 |
ロコモ度3 | ロコモが進行し、社会参加に支障がある状態 | 自立した生活が難しくなるリスクが非常に高い。 整形外科専門医による診療が必要です。 |
1.立ち上がりテスト
片脚・両脚で「40cm、30cm、20cm、10cmの4種類の高さの台に座った姿勢から立ち上がれるか」で下肢筋力を測り、ロコモ度を判定します。
転倒しないよう反動をつけずに立ち上がり、3秒保持できるかどうかをチェックしましょう。
- ロコモ度1:片足で40cmから立ち上がれないが、両脚なら20cmでも立ち上がることができる
- ロコモ度2:両脚で20cmの台から立ち上がれないが、30cmの台からなら立ち上がることができる
- ロコモ度3:両足で30cmの台から立ち上がることができない
2.2ステップテスト
できる限り大股で2歩歩き(2ステップ)、歩幅を計測します。下肢の筋力、バランス能力、柔軟性などの歩行能力のチェックです。
なお、バランスを崩した場合はやり直します。両足を揃えた状態で立てる場所を計測しましょう。
計算式は以下のとおりです。
次の計算式で2ステップ値を算出します。
2歩幅 (cm) ÷ 身長 (cm) = 2ステップ値
日本整形外科学会
ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコモ度テスト2ステップテスト」より
- ロコモ度1:2ステップ値が1.1以上1.3未満
- ロコモ度2:2ステップ値が0.9以上1.1未満
- ロコモ度3:2ステップ値が0.9未満
3.ロコモ25
ロコモ25では、25の質問に全て答えてくロコモ度を判定します。
質問は「ロコモ度テスト」のチェックシートより確認できますので、一度やってみましょう。
質問は例えば以下のようなものがあります。
1.頚・肩・腕・手のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか。
2.背中・腰・お尻のどこかに痛みがありますか。
3.下肢(脚のつけね、太もも、膝、ふくらはぎ、すね、足首、足)のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか。
- ロコモ度1:7点以上16点未満
- ロコモ度2:16点以上24点未満
- ロコモ度3:24点以上
ロコモティブシンドロームを予防するには
ロコモは運動機能の低下により悪化するため、まずはしっかりと体を動かすことが大切です。
「ロコモ体操」と検索するとさまざまな動画を見ることができますので、ご自身の体調に合わせて行ってみましょう。
ここでは日本整形外科学会が推奨する「ロコトレ」についてご紹介します。
ロコトレ1. 片脚立ち
片足立ちをすることで、バランス力の強化につながります。簡単にできるのでロコモティブシンドロームの予防にオススメの運動です。
まず片脚を床につかない程度に上げ、1分間保持しましょう。1分間で左右1セット、1日3セット行います。
転倒しないよう、机や壁に手をついて行いましょう。
ロコトレ2. スクワット(下肢筋力をつける)
スクワットは弱りやすい下肢筋力をつけるのに効果的です。
まず足を肩幅に広げて立ちます。呼吸を止めずにお尻を引きながら2~3秒間かけてゆっくりと膝を曲げ、ゆっくり戻りましょう。机を持ちながら行っても大丈夫です。
まず1セット5〜6回、1日3セットを目指します。
ロコトレ3.ヒールレイズ
両足でたった状態で踵(かかと)の上げ下ろしを行います。ふくらはぎの筋力強化に効果的なので、ロコモティブシンドロームの予防につながります。
まずできる範囲で10~20回を1日 2〜3セット行いましょう。
できる人は片足でも行ってみましょう。
ロコトレ4. フロントランジ
フロントランジとは、下肢の柔軟性、バランス能力を鍛えるエクササイズです。
まず、腰に両手をついて両脚で立ちます。片足を大きく前に踏み出し、太ももが水平になるまで前側の膝を曲げましょう。その後、踏み出した足をゆっくり戻します。
無理せず5〜10回を2〜3セット行いましょう。
ロコモティブシンドロームはまず予防から!
ロコモティブシンドロームを予防するには、まず自己チェックを行うことが大切です。
次に、具体的にどこの運動器が衰えているのかを確認し、意識的にトレーニングを行うようにしましょう。
エスカレーターではなく階段を使う、自転車ではなく歩いてみる、家でじっとせず散歩に出る、などまずは意識を変えていきましょう。
健康寿命ポータルでは、ロコモティブシンドロームやフレイルなど健康寿命に関する情報発信を行っています。そのほかの記事もぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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