メタボリックドミノとは、生活習慣の乱れや肥満が脳卒中や心不全など命に関わる病気を引き起こす、負の連鎖を「ドミノ」に例えた概念です。

そこで今回は、メタボリックドミノを引き起こす要因や改善方法をまとめてご紹介します。

病気の進行するプロセスを理解し、効果的に予防していきましょう。

みんなで健康寿命を高めましょう!

健康寿命が全国平均より10歳も長い町・大阪府太子町から、健康的な日常生活を続けるためのヒントをお届けしています。

メタボリックドミノとは

メタボリックドミノとは、生活習慣の悪化から重篤な合併症を引き起こすまでの負の連鎖を表現した概念です。

2003年に慶應義塾大学の伊藤裕教授によって提唱されました。

生活習慣の乱れが「肥満」を引き起こし、やがて「食後高血糖」「血圧上昇」「脂質異常」、いわゆるメタボリックシンドロームが起こる。その後もドミノ倒しのように「動脈硬化」が進み、「糖尿病」が起こり、さらに「腎臓病」「脳卒中」「心不全」「認知症」などが引き起こされる──。
これが、伊藤裕教授が2003年に世界で初めて提唱した「メタボリックドミノ」の考え方です

慶応義塾大学医学部・医学研究科「メタボのドミノを食い止めろ『全身を診る内科』の挑戦」より

はじめは無症状ですが、放置すると脳卒中や心不全、慢性腎臓病など、命に関わる重大な病気につながります

また、近年メタボリックドミノが引き起こす症状に「がん」や「筋肉量が減少するサルコペニア」も追加されました。

メタボリックシンドロームとの関係

メタボリックドミノが引き起こす病気は、どれも「肥満」が出発点です。

メタボリックシンドロームは単なる内臓脂肪の増加だけでなく、脂質異常症や高血圧につながります。そして最終的には動脈硬化を引き起こすのです。

肥満に気付いた段階で治療を始めないと、メタボリックドミノは進行し、神経障害による下肢切断、網膜症からの失明など、引き返せない合併症につながります

メタボリックドミノはどのように進行するのか

ここではメタボリックドミノがどのように進行するのか、詳しく見ていきましょう。

①生活習慣の乱れ

メタボリックドミノの出発点は、食べすぎや運動不足などの生活習慣の悪化です。

また、近年では東京医科歯科大学などの研究で、歯周病菌がメタボリックシンドロームの危険因子のひとつになると指摘されています

歯周病はオーラルフレイルを引き起こす要因にもなるため、予防が重要です。

まずは適度な運動習慣や、歯科検診の定期受診を心掛けましょう。

②肥満

生活習慣の乱れは、脂肪の蓄積を引き起こします。

内臓脂肪型肥満はホルモンバランスを乱し、高血圧や高血糖、脂質異常などのメタボリックシンドロームにつながる症状を引き起こすのです。

③メタボリックシンドローム

肥満症に高血糖、高血圧、高脂血症などの2つ以上が組み合わさると、メタボリックシンドロームと診断されます。

しかし自覚症状がないため、初期段階で治療を始める人は少数なのが現状です。

ただし、放置すると糖尿病や心血管疾患になるリスクや死亡リスクは通常時の3倍に跳ね上がります。そのため早期発見・早期対策をすることが大切です。

メタボリックシンドロームとは?診断基準を知って正しく理解しよう!

メタボリックシンドロームは、ただ太っているだけの状態ではありません。 「メタボ」と呼ばれて親しみやすい印象を受けますが、実は放置すると動脈硬化や脳卒中を引き起こ…

④慢性腎臓病(CKD)

メタボリックシンドロームによりインスリン分泌不全、糖尿病、脂肪肝が進行すると、慢性腎臓病を発症します

腎機能は、一度低下するとなかなか元に戻りません。進行すると人工透析が必要になってしまうため、できるだけ早く治療を始める必要があります。

⑤心血管病など重大な合併症

メタボリックドミノは、最終的に動脈硬化を進行させます。すると、心不全や脳卒中、下肢切断、脳血管障害など、致命的な合併症を引き起こします。

そのほかにも、網膜症による失明、ED、腎不全・人工透析、認知症など、寝たきりや要介護になる深刻な病気につながるのです。

このように健康寿命を守るためには、メタボリックドミノを初期段階で食い止めなければなりません

メタボリックドミノを防ぐには

メタボリックドミノを進行させないためには、まず1枚目である生活習慣を見直すことが大切です。

運動習慣や外出の機会をつくることで、まずは肥満に陥らないよう意識しましょう。

具体的には、有酸素運動であるジョギングやノルディックウォーク、地域ボランティアへの参加、大きな声で歌う、など、出来ることから始めることが大切です。

メタボリックドミノを意識すれば健康寿命が延びる

近年では、メタボリックドミノは「ミトコンドリア」の機能異常とも関連があることがわかってきました。

このミトコンドリアはサーチュイン(長寿遺伝子)によってコントロールされています。そのため、サーチュインを活性化するNMNに注目が集まるなど、健康寿命やメタボリックドミノを食い止めるための研究が今後も進んでいくことは間違いないでしょう。

NMNとは?若返りや老化防止が期待できる理由や仕組みを解説

NMNは、若返りや老化防止の効果が期待できる成分です。セレブや芸能人、有名経営者などの間で流行しています。しかし、販売価格が高額であることから、気になっていても手…

健康寿命ポータルでは、このように人生を健康に過ごすための情報発信を行っています。そのほかの記事もぜひ参考になさってください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

投稿者プロフィール

野上 和香子 (Wakako Nogami)
野上 和香子 (Wakako Nogami)