ディポネクチンは「長寿ホルモン」「痩せホルモン」として近年注目を集めるホルモンです。

生活習慣病やガンの予防効果など、多くの効能が研究から明らかになっています。

そこで今回は、アディポネクチンが健康寿命に与える影響を詳しくみていきましょう。

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健康寿命が全国平均より10歳も長い町・大阪府太子町から、健康的な日常生活を続けるためのヒントをお届けしています。

アディポネクチンとは?

アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンの一種です。体内では血管の壁を修復したり、糖や脂肪などエネルギー代謝に関わっています。

実は、1996年に発見された、まだまだ新しいホルモンです。

しかし研究が進むにつれ、健康寿命の延伸に重要な役割を担っていることがわかってきました。

なぜ「長寿ホルモン」と呼ばれるのか?

アディポネクチンの血中濃度の正常範囲は5~10μg/mlです。しかし、4μg/mlを下回ると糖尿病や心筋梗塞、がんなどになるリスクが高まることがわかってきました。

また、実は長寿者ほど血中濃度が高いことがわかっています

そのためアディポネクチンの血中濃度と寿命には強い関連性があると考えられており、「長寿ホルモン」と呼ばれるようになったのです。

新井さん(慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの新井康通さん)は、
「百寿者のアディポネクチン血中濃度は、若い年代の2倍」であることを突き止めた。
アディポネクチンは百寿者の体内で病気を防御してくれているのかもしれない。ただ、長寿の人にアディポネクチンが多いメカニズムは分かっておらず、今後調べていく必要があります」

日本経済新聞「百寿者調査で分かってきた 知られざる長生きの世界」より

長寿者の特徴については以下の記事でまとめています。

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アディポネクチンが防ぐ病気

ここでは、アディポネクチンの血中濃度を高めることによる健康効果をみていきましょう。

動脈硬化の予防

アディポネクチンは傷ついた血管の修復や、血管の拡張を促す役割があります。

そのため動脈硬化予防につながり、心筋梗塞や脳卒中などの疾患リスクを減らしていると考えられています。

脂肪燃焼効果

アディポネクチンは長寿ホルモンのほか、「痩せホルモン」という名前でも知られています。

これは、アディポネクチンが糖や脂肪の分解を促進するからです。

運動をしなくても脂肪が燃焼されるため、ダイエッターに注目を集めています。

糖尿病の予防

実はアディポネクチンには、インスリンによる血糖値調整をサポートする働きがあります。

そのため血中濃度を高く保つことで、糖尿病の予防や改善につながることが期待されています。

高血圧の予防

アディポネクチンの血管拡張作用により血流が良くなり、血圧が下がります。

そのため血中濃度をコントロールできれば、高血圧予防・改善効果が期待できるのです。

メタボリックシンドロームの予防

メタボリックシンドロームは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が合わさった病態です。

このメタボリックシンドロームも、アディポネクチンのコレステロール代謝や高血圧予防、血糖コントロール効果によって予防できることが確認されています。

がん予防の可能性

まだ研究段階ですが、アディポネクチンにはガン細胞増殖の抑制作用があると考えられています。

アディポネクチンで健康寿命が延びるかも!

アディポネクチン研究は日々進んでいます。そのためいずれは効果を応用した薬や治療法が発見されるでしょう。

アディポネクチンは定期的な有酸素運動で分泌が増加することがわかっていますまずは健康的な生活習慣を身につけることが大切です。

健康寿命ポータルでは、健康寿命に関わる様々な菌やホルモンなどを紹介しています。腸内フローラに住む「長寿菌」について解説した記事もありますので、ぜひ参考になさってください。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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野上 和香子 (Wakako Nogami)
野上 和香子 (Wakako Nogami)