メタボリックシンドロームは、ただ太っているだけの状態ではありません。

「メタボ」と呼ばれて親しみやすい印象を受けますが、実は放置すると動脈硬化や脳卒中を引き起こす危険な状態です。

そこで今回はメタボリックシンドロームの肥満との違いや、診断基準について解説します。まずは正しい知識を身に着けましょう。

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メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは、内臓脂肪型肥満をきっかけに高血圧、高血糖、脂質代謝異常などの疾患が組み合わさった状態です。

メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。

厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドローム(メタボ)とは?」より

そのため単に腹囲が大きいだけ、太っているだけでは「メタボ状態」とはいえません。

放置すれば動脈硬化の発生リスクが高く危険な状態です。日本人の主な死因は動脈硬化に起因しています。

特に脳卒中は要介護・寝たきりになる可能性が高いため、予防することが大切です。

肥満との違い

メタボリックシンドロームと肥満症は、診断基準の異なる別の疾患です。

メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積に加え、動脈硬化のリスク因子の有無から判断されます。

その一方肥満症はBMI25以上の状態を指す疾患です。

つまり、肥満症にさまざまなリスク因子が合わさった状態がメタボリックシンドロームだと言えるでしょう。

メタボリックシンドロームの判断基準

内臓脂肪の過剰な蓄積があること、加えて脂質異常、血圧高値、高血糖の3項目のうち2項目以上を満たす場合に診断されます。

日本では、2005年に日本内科学会などの8つの医学系の学会が合同してメタボリックシンドロームの診断基準を策定しました。
内臓脂肪の蓄積があり、かつ血圧、血糖、血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れている状態を指します。
なお、海外では異なる基準を用いている点に注意が必要です。また、メタボリックシンドロームの診断基準と特定保健指導の基準は少し異なります。

厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」より

今回は厚生労働省のe-ヘルスネットを参考に診断基準を解説します。

必須項目:内臓脂肪の蓄積

まず、メタボリックシンドロームの診断では内臓脂肪の状態を測定します。

診断基準は下記の通りです。この基準は、内臓脂肪面積が100cm2に相当するかどうかに基づいています。

  • 男性: ウエスト周囲85cm以上
  • 女性: ウエスト周囲90cm以

追加項目:脂質異常、血圧高値、高血糖の3項目

さらに①脂質異常②血圧高値③高血糖の3項目の数値を確認します。

①脂質異常

  • トリグリセライド(中性脂肪)値: 150mg/dL以上
  • HDL-コレステロール値: 40mg/dL未満

血中の中性脂肪濃度で肥満症や脂肪肝のリスクを測定します。また、LDLコレステロール動脈硬化の原因のひとつです。

②血圧高値

収縮期血圧: 130mmHg以上

拡張期血圧: 85mmHg以上

上記基準で高血圧予備軍かどうかを判断します。

③高血糖

空腹時血糖値: 110mg/dL以上

上記基準で糖尿病予備軍かどうかを判断します。

メタボリックシンドロームが引き起こす病気

メタボリックシンドロームになると、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病にかかりやすくなります。

また健康な人より2型糖尿病や心血管疾患などの発症・死亡リスクは3倍です。

加えて動脈硬化の進行で心筋梗塞や脳梗塞など致命的疾患にかかりやすくなります。

そのほかにも脂肪肝、高尿酸血症、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などを引き起こします。

メタボリックシンドロームは自覚症状がないことも多いため、定期検診などできちんと確認することが大切です

正しい理解でメタボリックシンドロームを防ぐ!

メタボリックシンドロームは単に太っている状態ではありません。

動脈硬化をはじめ多くの疾患の原因になるため、まずは診断基準を正しく理解して自分の状態チェックにつなげることが大切です。

健康寿命ポータルでは、メタボリックシンドロームやフレイルなど健康寿命を延ばすための情報提供を行っています。ぜひメタボリックシンドロームの予防についての記事もご覧ください。

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野上 和香子 (Wakako Nogami)
野上 和香子 (Wakako Nogami)