偏頭痛は健康寿命を2年縮める!? 治療薬や専門病院を知って対策を

偏頭痛は、ズキズキと脈に合わせて頭の片側が痛くなる、拍動性の頭痛です。

実はこの偏頭痛は単なる「頭痛」ではありません。放置すると健康寿命を著しく下げる危険性のある深刻な「脳の病気」です。

そこで今回は、偏頭痛が健康寿命に与える影響や治療方法について詳しく解説します。

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1. 偏頭痛は健康寿命を2年縮める
2. 偏頭痛を我慢している人が多い
3. 偏頭痛を放置するリスク
3.1. 頭痛が慢性化・増悪する
3.2. 社会的・経済的な負担が増える
3.3. 薬物乱用頭痛になりやすい
4. 偏頭痛の治療薬
5. 偏頭痛を正しく治療して健康寿命を取り戻そう！

偏頭痛は健康寿命を2年縮める

健康寿命とは「健康で日常生活を支障なく過ごせる期間」のことです。

実は偏頭痛の患者は、頭痛を我慢することで人生の健康な期間（健康寿命）を約2年も失っていることが報告されています。

また、WHOの調査によると、偏頭痛は

負担の大きい神経疾患として脳卒中と認知症に次ぐ3位
命に関わる疾患ではないため、障害に苦しむ年数が最も長い脳疾患

ということもわかっています。

偏頭痛を我慢している人が多い

偏頭痛は脳の血管や神経の異常が原因で発生する、脳の病気です。

しかし実はまだ偏頭痛の社会的認知度が低い疾患です。そのため「単なる頭痛」と我慢して仕事や家事をしているケースも少なくありません。

実際に、日本には潜在的に約840万人の偏頭痛患者がいると言われています。しかし医療機関で治療を受けているのは3割程度しかいないのです。

偏頭痛を放置するリスク

偏頭痛を治療せずに我慢していると、さまざまなリスクがあります。

頭痛が慢性化・増悪する

偏頭痛を適切に治療しないと、慢性的に偏頭痛発作が発生しやすくなります。

また、頭痛発作を繰り返すと脳が痛みを感じやすくなり、痛みも頻度も増悪していきます。

実際、慢性化するとどんどん治りにくくなるため、早めの治療を行うことが大切です。

社会的・経済的な負担が増える

偏頭痛に苦しんでいるのは、20〜60代の仕事や育児をしている年代です。

実は片頭痛患者1人あたり年間24万円以上の損失があることがわかっています。

出勤はしていても、健康上の問題で労働に支障を来し、最善の業務ができなくなる状態を疾病就業（presenteeism）といいますが（中略）疾病就業で片頭痛患者一人あたり年間24万円もの経済的損失を生じています。
一般社団法人　松山市医師会「健康寿命と片頭痛」より

実際に偏頭痛は強い痛みだけではありません。動くと痛みが増したり吐き気に苦しむため、発作がおきた状態で仕事を継続するのは困難です。

加えて、頭痛で何度も休んだり早退が増え、心理的なストレスも増大します。

海外のデータですが　片頭痛のために22.8%の方が仕事をクビになり、38.6%が育児に影響を与え、13.1%が母親の片頭痛のために子供の勉強に支障をきたす、と報告されています。
人見クリニックコラムより

薬物乱用頭痛になりやすい

薬物乱用頭痛とは、頭痛薬を過剰に使用し続けることで発生する慢性頭痛のことです。

実は、強い痛みを伴う偏頭痛は通常の鎮痛剤では効果があまり実感できません。そのため、大量の頭痛薬を慢性的に服用しがちです。

この場合、薬物乱用頭痛に対しても頭痛薬を飲むため、鎮痛薬が頭痛を引き起こすという悪循環に陥ってしまいます。

また、頭痛薬は胃の内臓に負担が大きいため、内臓疾患の引き金になることもあります。

そのため「頭痛薬でおさまらない」「辛い」と感じた場合は、医療機関を受信することが大切です。

偏頭痛の治療薬

実は偏頭痛の治療薬トリプタン製剤が承認されたのは2000年のことで、つい最近です。

発作時の薬で特に片頭痛発作の特効薬として使われる以下の薬と、予防薬は病院でしか処方できません。

「トリプタン製剤」
「ラスミジタン製剤(レイボー)」

また、頭痛予防薬は現在以下の2つに大きく分かれています。

「内服で使う従来の予防薬」
「注射で使う新しい予防薬、抗CGRP抗体製剤」
井土ヶ谷脳神経外科・内科　頭痛・めまい・しびれクリニック「【頭痛を我慢したことのある方へ】我慢せずに脳神経外科を受診すべき理由。」より

偏頭痛には市販の鎮痛剤はないため、必ず医療機関を受信する必要があります。

特に予防薬は一般的なクリニックでは用意できない場合もあります。そのため、治療には脳神経内科、脳神経外科、ペインクリニック、頭痛外来などの専門科を受診しましょう。