「座りすぎ」が、さまざまな現代病の引き金になっていることをご存知ですか?
実は京都府立医科大学の研究で、日中座っている時間が2時間増えるごとに、将来の死亡リスクが13〜15%も増加することが証明されています。
そこで今回は、座りすぎと寿命の関係を詳しく調査しました。座りっぱなしが健康に与える悪影響について詳しくみていきましょう。
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何時間以上が座りすぎ?
実は「座りすぎ」に明確な時間の定義はありません。
しかし、30分に一度は立ち上がり身体を動かす必要があると、多くの研究で指摘されています。
座る時間が長くなるほど死亡リスクは高まり、
早稲田大学スポーツ科学学術院 ”「座りすぎ」ていませんか” より
「一日 11 時間以上座っている人では、4 時間未満の人に比べて死亡リスクが 40%高まる」という報告や、
「テレビを 1 時間じっと座って見続けると余命が 22 分短くなる」という報告もあります。
その他、肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム、心血管疾患、がんなどの発症にも関連しています。
つまり、1時間のデスクワークや会議は約22分間の寿命を犠牲にしているのです。
よく「タバコ1本で寿命が5分〜14分短くなる」と言われていますが、実は「座りすぎ」のほうがよっぽど不健康な習慣であるといえるかもしれません。
座りすぎはなぜ体に悪い?
人間の身体は、歩いたり立ち上がったりするだけでも様々な筋肉を使います。筋肉が動けば細胞の代謝がすすみ、血流もよくなって健康が維持できる仕組みです。
しかしその一方、座りっぱなしだと身体が動かないため、血流も代謝も悪化します。
人間の大きな筋肉の7割は下半身にあるため、身体のほとんどの筋肉が止まったままになってしまうのです。
- 筋肉群が動かないためエネルギー消費・代謝が悪くなる
- 第二の心臓である「ふくらはぎ」の筋肉が動かず血液循環が悪化
- 脳への血流低下により認知症リスクが高まる
- 体が動かないことで自律神経が狂ったりストレスがたまる
すると、肥満や生活習慣病、脳血管疾患、がん、糖尿病、認知症などのリスクが高まるのです。
座りすぎと寿命の研究データ
京都府立医科大学などが共同研究を行って、約6万人の日本人を平均7.7年間追跡調査した結果は以下のとおりです。
日中の座位時間が2時間増えるごとに、死亡リスクは15%増加し、とくに生活習慣病の有病者では、脂質異常症は18%、高血圧は20%、2型糖尿病は27%、それぞれ死亡リスクが増加した。
保健指導リソースガイド「座位時間が長いほど死亡リスクが上昇 生活習慣病があるとさらに危険「立ち上がって運動を」 日本人6万人超を調査」より
生活習慣病(高血圧、脂質異常症、2型糖尿病)の保有数に応じて、座位時間と死亡の関係は大きくなり、3つすべてをもつ人では死亡リスクは42%高くなった。
また、明治安田生命の調査では、座り過ぎが心にも悪影響を及ぼしていることもわかっています。
調査では、1日12時間以上座っている人は、6時間未満の人と比べて、メンタルヘルスが悪い人が3倍も多いこともわかっています。
明治安田厚生事業団 「座りすぎ」はカラダにもココロにも悪い?より
世界保健機関(WHO)も2011年に「座りすぎは世界で年間200万人の死因になる」と発表するなど、様々なデータで座位への危険性が注意喚起されています。
日本人は世界で一番「座りすぎ」
シドニー大学の調査によると、世界20カ国の座位平均が約5時間の一方、日本は約7時間も座っていることがわかりました。
つまり、日本は世界でもトップクラスに座位時間が長いのです。
また、厚生労働省のデータでも日本人の座っている時間の統計が発表されています。
- 8~10時間未満:男性12%、女性13%
- 10時間以上:男性26%、女性20%
つまり、3割以上の日本人は1日8時間以上を座って過ごしているのです。
オフィスでできる簡単な運動
オフィスではなかなか頻繁に立ち上がって歩き回ることができません。
そのため、デスクの下でできる簡単な下半身のエクササイズをとりいれてみましょう。
- 片足ずつゆっくり交互に足をのばし、つま先を天井に向ける
- つま先をつけたままかかとをゆっくり上下する
テレワーク中など立ってできる環境であれば、立って身体を動かすことも大切です。オフィス環境を工夫できるなら、スタンディングデスクなども導入してみましょう。
まずは自分が何時間座っているかをチェックしよう
座りすぎは、健康寿命に悪影響を及ぼします。
日本は座りすぎな大人が多いため、まずはご自身が日中どれくらい座っているかをチェックしてみましょう。
健康寿命ポータルでは、生活習慣と寿命の関係をご紹介しています。日々を健康に過ごすために、ウォーキングの豆知識の記事もぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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